抄録
【目的】
秋田県の特産品である比内地鶏の用途拡大を図る目的で、比内地鶏のスープストック製造に適した部位と加熱時間の検討を行った。
【方法】
平成17年に購入した比内地鶏のガラ、胸肉、腿肉各40gに蒸留水100mlを加えて1~6時間加熱し、経時的に、得られたスープストックの官能評価及びスープストック中の遊離アミノ酸の同定・定量を行った。アミノ酸分析は、日本電子社製のアミノ酸分析機JIC-500-GAを用い、一般成分の分析は定法に従った。
【結果】
スープストックの官能評価では、加熱1時間のものが、味、色、香り、総合の全てにおいて高い評価を得た。これに対し、6時間加熱のスープストックは、味と総合で1%の危険率で低い評価だった。遊離アミノ酸は、腿肉切り身を用いたスープストックの方が他の部位を用いた場合より多かった。旨味系アミノ酸であるグルタミン酸とアスパラギン酸の合計量は、腿肉切り身と腿肉刻みから得られたスープストックに最も多く含まれていた。苦味系アミノ酸は、いずれの部位においても、加熱に伴い増加する傾向にあった。一時間加熱の腿肉切り身のスープストックがもっとも好まれたのは旨味系アミノ酸量および甘味系アミノ酸量ではなく、苦味系アミノ酸量の少ないことが原因と考えられた。