日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-39
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ポスタ-セッション
パイナップルのフレーバーに及ぼす保存温度の影響
*時友 裕紀子小宮山 幸子
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抄録


【目的】
 熱帯果実のパイナップルは7 ℃前後に保存することで味や香りが保たれるが、低い温度による保存では、低温障害により食味が低下する。特に香りの変化が大きいとされているがその詳細は明らかになっていない。本研究ではフレーバーに及ぼす保存温度の影響を明らかにするため、パイナップルを2 ℃、7.2℃、13.5℃で保存し、香気成分を溶媒抽出法とSAFE(Solvent Assisted Flavor Evaporation)装置による蒸留・精製により得て、GC分析を行い、各香気濃縮物の香気の違いを検討した。
【方法】
 パイナップルはフィリピン産マヤンゴールド(株式会社Doleの商品名はスウィーティオ)を用い、現地で収穫後、2 ℃、7.2℃、13.5℃に設定したコンテナに保存し、日本への輸送中も同温度に保った。大学研究室に到着後も同温度に調整した冷蔵庫または室内に保管し、1週間以内に分析に供した。糖度を屈折糖度計で、酸度を中和滴定法にて測定した。香気濃縮物は、ミキサーでホモジナイズして得た果汁のジクロロメタン抽出物をSAFE装置で蒸留・精製して得、AEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)法を用いたGC/O(Gas Chromatography/ Olfactometry)により各香気成分の分析・評価を行った。
【結果】
 酸度に大きな違いは認められなかったが、7.2℃保存のパイナップルは2℃保存、13.5℃保存に比較して糖度が高い結果となった。香気については、パイナップルの果実様香気に重要なエステル類に及ぼす、保存温度の違いの影響は認められなかった。7.2℃保存に比較して2℃保存では不快なにおいが増加し、13.5℃保存では多くのピークのFDファクターが増加する傾向に見られ、香りが濃厚になることが認められた。

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