日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-42
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寒天ゲルの凝固状態に及ぼす冷却温度の影響
*貝沼 やす子松浦  有香
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抄録


【目的】
 加熱溶解した寒天ゾルは凝固温度が高く、室温で凝固することが大きな特徴であるが、実際には水や氷水などを使って冷却されることが多い。このような冷却条件の違いが、凝固に至るまでの時間や凝固状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的に実験を行った。
【方法】
 寒天粉末と砂糖を蒸留水とともに加熱溶解させた後、溶液を流し缶あるいはゼリーカップに流し入れて冷却、凝固させ、試料とした。寒天濃度は0.5%、1%、1.5%、冷却温度は室温冷却(25℃)、水冷却(20℃)、氷冷却(5℃)に設定し、寒天溶液冷却の際の温度履歴、凝固状態の観察、クリープメータによる破断応力・破断エネルギー・歪み率などの測定、離しょう水の測定を行った。
【結果】
 室温冷却では30~35℃で凝固し、凝固に長い時間を要した。氷冷却では15℃位とかなり低い温度での凝固になるが、凝固に要する時間は短くなった。水冷却は室温冷却と氷水冷却の中間の状態であった。寒天ゲルの破断応力・破断エネルギーは、ゲルの温度が同じであれば、冷却温度が高い方が大きい値であった。各冷却条件における最終温度での破断応力・破断エネルギー値は、室温冷却(25℃)と水冷却(20℃)がほぼ同じ位の値であったのに対し、氷冷却(5℃)はかなり大きな値となり、寒天濃度が同じであっても冷却条件によって最終のゲルの物性は異なっていた。また、容量の小さいゼリーカップの方が高い温度で凝固し、最終冷却温度での破断応力・破断エネルギーは、容量の大きい流し缶の方が大きい値を示した。離しょう水は放置する時間の経過とともに増加したが、冷却温度の高い方が離しょう水は少なく、安定なゲルとなった。

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