【目的】
小麦粉は電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance, ESR)を用いて計測すると数種類のラジカル成分が解析される。そこで、パンに加工した際のラジカル成分の変化を検討するために、製パン用の小麦粉およびこれを用いたパンを試料としてESR計測し、得られる信号からラジカル種を解析した。
【方法】
ESR計測に用いた試料は市販製パン用小麦粉である。製パンは自動ホームベーカリー(ナショナル製)を用いた。
【結果】
小麦粉のラジカル信号は3種類観測され、マンガンイオンとフリーラジカル由来の信号であると解析された。これは、従来の報告と同じ結果であった。製パン処理によりパンのフリーラジカル由来の信号強度が増加した。パンの外周は信号強度が特に強かった。トーストを調製しラジカル信号を計測したところ、さらに信号強度が増大した。そこで、小麦粉やパンの加熱による褐変反応がラジカル信号の変化に関連していることが示唆された。