抄録
【目的】
国民健康・栄養調査では、若い女性の食生活に関する問題点として低体重者の増加や各種栄養素・食品群の摂取状況の過不足が挙げられており、また、栄養士・管理栄養士を目指す者は女性が多い。そこで、栄養・食生活に関する知識を学び、将来、生活習慣病予防や食教育活動に従事する専門家として栄養士・管理栄養士を目指す女子大生の食意識と栄養摂取状況を調査する事とした。
【方法】
調査対象者は栄養士養成校に在籍する女子大生36名とした。食物摂取頻度調査(以下、FFQg)および食生活アンケートを実施した。FFQgより栄養素等摂取量、食品群別摂取量から主食・副菜・主菜等に分類し、食事バランスガイドの“つ(SV)”を求め、食生活アンケートによる食意識と食事バランスガイドのコマを用いて栄養摂取状況を比較検討した。
【結果】
対象者のうち低体重者は11%であった。一方で、個人の身体活動レベルから算出した、エネルギー必要量を充足した者は28%であった。栄養摂取状況は、食品群で菓子類と油脂類の摂取量が多く、また、種実類、海藻類、果実類は摂取量が著しく少なく日常的にほとんど食べられていなかった。食生活アンケートでは、主食、主菜、副菜を整えて食事をするようにいつも心がける者は14%しかなく、食事バランスガイドの基準に基づいた評価では、コマでは副菜、果物による傾きの違いが見られ、菓子・嗜好飲料のヒモが太くなりコマが回らない状態であった。日頃から栄養に関する知識の習得の他に、調理学実習や献立作成などで栄養素レベルあるいは食品レベルで各種栄養素等を評価していても、実際には良好な食生活を続けるための行動変容には結びついていない事が示された。