日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-14
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ポスタ-セッション
沖縄県内高校生の「伝統食」継承に関する意識と実態(第二報)
-親・子・孫の世代間調査をとおして-
*田原 美和
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キーワード: 沖縄, 伝統食, 高校生
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抄録

【目的】
 沖縄県は国内でも亜熱帯性気候に属し、また琉球王朝時代には中国、東南アジアとの交易、第二次大戦後の27年間は米国統治下におかれる等の歴史的背景から、日本本土とは異なる独特な伝統食もみられる。そこで本研究では、沖縄県内の親・子・孫を対象とした伝統食に関する意識・実態を調査し、親から子、孫へと継承されている料理、継承に対する今後の意識等を把握する事を目的とした。なお、前報(日本調理科学会平成19年度大会)では、孫世代の高校生を対象にその一部を報告した。
【方法】
  沖縄本島・離島地域在住の600組の親・子・孫を対象に、沖縄の伝統食に関する質問紙法による調査を2006年12月~2007年6月に実施した。各地域の普通科を設置する県立高等学校の学校長、家庭科教諭、PTAと連携しながら、高校生は留置法、親・祖父母は郵送法による調査を実施し、有効回収率は高校生85.2%(511名)、親11.5%(69名)、祖父母5.8%(35名)であった。統計処理にはSPSS15.0Jを用いた。
【結果】
 本報では調査対象者である親、子、孫(高校生)世代の質問紙調査の有効回収率に差があるため、伝統食の継承に関する意識・実態等の結果はその傾向について述べたものである。沖縄の伝統食を実際に作れると回答した者は、親>子>孫の順に多かった。特に祖先供養の際に重箱に詰められる重詰め料理は、いずれの世代も継承に対する意識は高いものの、実際に作った経験のある者は親91.2%、子75.4%、孫13.3%と差がみられた。継承の必要性に関しては、どの世代もその意識は高いものの、子、孫世代は一緒に料理する機会や時間がない等の回答も多かった。孫世代の高校生が実際に作れると回答した伝統食は、家庭で習った経験があり、油脂類を用いるものが上位を占めた。
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© 2008日本調理科学会
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