日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-42
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味溶液濃度差識別能力と月経周期との関連性
植田 泰子須田 有実子並木 望小林 三智子*山本 誠子
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抄録

【目的】
 本研究では電気味覚計による電気味覚閾値の測定と味溶液の濃度差識別テストを行い、月経周期と味覚感受性の関連性を求めることを目的とした。
【方法】
 健康な19~25歳の女子学生16名を対象とし、口腔内には口内炎やう歯による痛みのないこと、食後1時間以上経過していること、非喫煙者であることを確認した。電気味覚計閾値の測定は電気味覚計(リオン社:TR-06)を用いた。刺激部位は舌尖より2cmの茸状乳頭領域の左舌縁と、舌縁後方葉状乳頭領域の舌根に近い左の部分の計2箇所とした。測定時期は月経周期を月経期、卵胞期、黄体期の3区分とし、月経中を月経期、月経終了から排卵日前までを卵胞期、排卵から月経が始まる前を黄体期と考え、パネルそれぞれについて測定した。
 味溶液の濃度差識別テストは甘味(スクロース)、塩味(NaCl)、酸味(酒石酸)およびうま味(MSG)の4味について行なった。測定時期は電気味覚計と同様とした。
【結果】
 電気味覚計より求めた閾値の平均値は、黄体期は茸状乳頭-4.92dB、葉状乳頭-3.63dB、月経期は茸状乳頭-4.71dB、葉状乳頭-3.00dB、卵胞期は茸状乳頭-4.25dB、葉状乳頭-3.13dBであった。いずれの測定時期においても茸状乳頭の閾値が葉状乳頭よりも低く、舌尖の方が舌後方よりも味覚感受性が高いことが示された。さらに、黄体期において茸状乳頭、葉状乳頭ともに他の2期に比べて味覚感受性が高くなった。
 味溶液の濃度差識別テストでは、甘味に関しては黄体期、塩味と酸味に関しては月経期、うま味に関しては卵胞期が最も味覚感受性が低くなるということが明らかとなった。
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© 2008日本調理科学会
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