日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-7
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口頭発表
圧力移動凍結したカスタードクリームの物性
治部 祐里*桑田 寛子横畑 直子寺本 あい安川 景子渕上 倫子
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抄録


【目的】
 水分含量の多いカスタードクリームは凍結後の損傷が大きい。しかし高圧力下の0℃以下でも凍らない不凍域(液相)に保持した後、急激に圧力解除すると急速凍結(圧力移動凍結)するため組織的に良好な状態を保つことができる。本研究では3種類の冷凍カスタードクリームの品質改善に対する圧力移動凍結の効果を検討した。
【方法】
 粉材料として小麦粉、コーンスターチ、タピオカを使用した3種類のカスタードクリームを真空包装し、食品高圧処理装置(神戸製鋼所製Dr.Chef)を用い、-10℃100MPa、-15℃150MPa、-20℃200MPaで約50分間圧力移動凍結後、-30℃で凍結保存後解凍し、外観の観察、離水率の測定、定常流粘性、チクソトロピー性、動的粘弾性の測定、官能評価を行った。これらを大気圧下の-10℃、-15℃、-20℃の圧力容器内凍結、および-20℃、-30℃、-80℃のフリーザー凍結したものと比較した。
【結果】
 圧力移動凍結したカスタードクリームは、急速凍結により氷結晶の成長が抑えられ、離水が少なく、物性も良好だった。しかしコーンスターチを使用したカスタードクリームは離水が多く、ボソつきがあり味が低下し、冷凍には適していないことが明らかとなった。大気圧下で圧力容器内凍結すると、-20℃フリーザー凍結よりも凍結時間が短縮し、離水率が減少した。フリーザー凍結すると、凍結温度が高いほど離水率が増加し、口触りや味が低下した。小麦粉、タピオカを使用したカスタードクリームでは、-30℃、-80℃フリーザー凍結でも凍結温度が低いため圧力容器内凍結と同程度の急速凍結が可能となり、凍結解凍後の品質が保たれ、味も未処理に近いと評価された。

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© 2008日本調理科学会
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