日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-4
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口頭発表
婦人雑誌に見る献立の変遷
婦人之友から大正時代を見る
*石原 由紀子藤田 麻子大久保 洋子
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キーワード: 献立, 婦人之友, 大正時代
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抄録


【目的】
 日本では明治後半になると、婦人を対象とする雑誌が出版され、食の分野にも少なからずページが割かれている。その中の一つである『婦人之友』は明治36年から現在に続いている婦人雑誌である。そこで、この『婦人之友』を通して食の変遷を見るべく、献立記事を中心に調査・検討を行うこととした。本報告は、大正期に絞って分析を行うことを目的とした。
【方法】
 資料として『婦人之友』(大正2~大正15)を用い、料理記事のタイトル・献立・食材料・調理法・特記すべき項目などについて整理し、分析を行った。
【結果】
 1)料理記事のタイトルを見ると行事・接待・惣菜・食品の知識と料理に関わるもの・料理法や食具の管理法・経済を考慮した料理・栄養価を問題にするなど多方面にわたっている。2)接待料理の献立には、例えば大正3年には椀・鉢・酢の物・刺身・焼き物・香の物と純和風献立であるが、大正後半になると接待記事が少なくなる。3)行事食としては、正月料理とクリスマス料理の掲載が多く、雛節句や花見、月見料理などが見られる。4)洋風料理に関しては、初期は菓子・果物・サラダなどが記載され、大正6年には和洋折衷という語彙も記載される。5)豚肉料理に関しては、1918年7月の「安価な滋養のある豚肉料理」という記事に対して反響があった様子で、その後1~9までシリーズ企画がなされている。牛肉から豚肉に移行していく様子が見てとれる現象である。6)西洋料理が先行し、中国(支那)料理は大正後期に出現する。

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