抄録
【目的】
私たちの生活の中では多種多様な菓子が食されており、日本全国にはその地域ならではの菓子が作られている。各地に存在する菓子を分類することは、菓子の種類を把握するだけではなく、菓子についての食文化、菓子の調理科学性、嗜好性などの特性を知る手がかりになると考える。菓子は「菓子の事典」などに述べられているように、分類方法は一様でないため様々な観点からの分類が可能である。そこで、複数の文献を参考資料にし、分類方法を確立し、その分類法を手がかりに菓子の特性について検討した。
【方法】
菓子が食生活史や食物史の文献の中でどのように現れているのかについても調べた。菓子の分類方法を検討するとともに、日本全国の菓子を掲載している文献「日本銘菓事典」を分析資料として用い、全国の菓子を分類・整理し、菓子の特性および菓子の概要を把握することを行った。
【結果】
食生活史や食物史の概要、菓子の分類方法および菓子の分類にみる特性などについて分析した結果は次のようであった。和菓子は日本独自のものに加え唐菓子や南蛮菓子の影響を受けて新たに作り出されたものがみられた。洋菓子が輸入されるようになると折衷菓子などが創製されるようになった。菓子の分類方法には使用原料によるもの、製造方法によるもの、形態によるものおよび用途別によるものがあった。菓子はその土地の産物を材料に取り入れ、自然や歴史に関連して工夫されていることが分かった。菓子の特性は使用原料や製造方法や形態などの要素が多様に組み合わされることにより形成されるといえる。<BR>