日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-6
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口頭発表
砂糖の種類及び加熱操作がスペルト小麦パンの物性と抗酸化性に及ぼす影響
*喜多 記子長尾 慶子
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抄録


【目的】
 スペルト小麦は普通小麦に比べアミノ酸やビタミン、ミネラルを豊富に含んでおり、健康・栄養面から注目されている小麦粉である。スペルト小麦を用いて、砂糖の種類(白砂糖、黒砂糖)と加熱法(天火、蒸し、揚げ、電子レンジ)を変えて調製した焼成パンの力学特性と抗酸化能を普通小麦のそれと比較し、物性と機能性面について検討した。
【方法】
 スペルト小麦粉及び普通小麦粉にドライイースト、砂糖(白砂糖又は黒砂糖)、塩、水(加水率56%)を加えて混捏した生地ドウを、ベーグルパンの調製法を参考に沸騰浴中で40秒間茹でた後、オーブンで焼成した。そのパンより水及びエタノールで水溶性及び脂溶性成分を抽出し、これら各部のペルオキシラジカル捕捉活性を化学発光(ケミルミネッセンス)法を用いて測定した。抗酸化能の評価として、発生した上記ラジカルの半分量を除去する試料濃度のIC50値(%)を用いた。次に上記2種の小麦粉にドライイースト、白砂糖、塩、水(加水率56%)を加えて混捏した生地ドウを天火(茹で加熱あり・なし)、蒸し、揚げ、電子レンジ法の加熱法を変えて焼成したパンの比容積並びに破断測定を行い、上記と同様にIC50値を算出し抗酸化能を評価した。
【結果】
 黒砂糖を用いたベーグルパンは白砂糖を用いたものよりIC50値は低く高い抗酸化能が得られた。さらに普通種よりもスペルト種を用いたパンの方が高かった。加熱条件を変えた場合では、比容積は茹で加熱ありの天火加熱が大となった。破断曲線では蒸し加熱と電子レンジ加熱のそれでは他の加熱法に比べ延性を示した。水溶性部分の抗酸化能はいずれの加熱法でも低下し、特に天火加熱の場合に低下した。

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