抄録
【目的】
食事のおいしさは料理だけでなく、それを取り巻く食空間の環境的要素も大きく関わってくる。そこで本研究は音楽を聴きながら食事した時、たばこの煙の中で食事した時など環境が食欲やおいしさにどのように影響を与えるかを明らかにすることを研究の目的とした。
【方法】
19~27歳の女子大学生45名を対象に、環境条件の異なる大学内試食室で仕出し弁当を提供し、食事終了後おいしさ、食欲、満腹感など6項目について5段階評価でアンケート調査を行った。環境は好きな音楽、嫌いな音楽、日常の騒音を聞きながら食べる、たばこの煙の中で食べる、無音無言で食べる、日常と同じように食べるの6条件とした。
【結果】
好きな音楽を聴きながら食べた時、有意に食欲があり、嫌いな音楽、日常の騒音の中では有意に食欲がない結果となった。また、たばこは日常と差がなく、食欲への影響は見られなかった。おいしさも食欲と同様の傾向が見られ、嫌いな音楽、日常の騒音の中では有意においしくないという結果となった。また、無音無言での食事は楽しさの評価が低く、1人で食べるより複数の人で話しながら食事することは楽しさ、喜びにつながると推測される。項目間の関係では、おいしさは楽しさや食欲と相関し、楽しさは食欲と相関があることがわかった。