日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-5
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口頭発表
認知症高齢者に対する「料理療法」実施料理内容の検討
*湯川 夏子前田 佐江子
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抄録

【目的】
 料理は、日常生活における「役割」を再認識し、「自信の回復」につながり、認知症周辺症状の緩和効果も期待できる活動である。このような料理活動の効用を生かして、「料理療法」として、支援方法や料理内容などの方法論を確立することが本研究の目的である。今回はこれまで実施した実践結果の内容分析を行い、認知症高齢者に適した料理内容の条件を検討した。
【方法】
 介護老人保健施設の認知症専門棟入所者を対象として定期的に料理活動を行った。調査期間は2004年1月から2008年3月である。期間中に実施した全料理について、支援者による内容評価およびコメントをもとに、料理内容の分析を行った。
【結果】
 実施した料理活動は合計36回であり、1回につき作った料理数は1~4品、平均2品であった。実施回数が多かった料理は寿司類(ちらし寿司、巻き寿司など)と白玉団子であった。実施後の内容評価から、成功する料理の要件は、過去によく家で作った料理、祝い事などハレのごちそう、季節感のあるもの、包丁操作の多いものであった。またデザートも有効であった。1回の調理時間は90分以内に収まることが望ましく、参加者の人数・能力に応じて、料理の難易度や品数を考慮する他、作る分量を調整することも重要であった。一方、巻き寿司のように工程が多く難易度が高い料理でも、高齢者の好物であり普段の食事では提供しにくいものは人気料理であり、時間内に実施可能な手順に工夫することが望まれた。以上の結果をもとに、認知症高齢者で実施できる料理を難易度別に分類して、料理のランク付けを試みた。 
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© 2008日本調理科学会
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