抄録
【目的】北海道立上川農業試験場で育成された「ゆめぴりか」は、2008年に水稲優良品種に認定され、2009年より一般栽培が開始される新品種である。本報では、一般消費者を対象に、アンケートによる米飯の嗜好調査と食味試験とを同時に行い、一般栽培に先駆け、「ゆめぴりか」に対する消費者の嗜好受容性について検討した。
【方法】被験者は札幌市圏より無作為抽出し、男女比と世代分布がほぼ均等になるよう調整した324名とした。アンケートでは米飯の外観、香味および食感の嗜好について10項目の質問を行った。回答直後に旧食糧庁の米の食味試験実施要領に準じた食味試験を行った。試料は2008年産の「ゆめぴりか」、「ふっくりんこ」、「ほしのゆめ」(以上、北海道産)、「コシヒカリ」(新潟産、茨城産)、「あきたこまち」(秋田産)および「ひとめぼれ」(岩手産)の計7点とし、「ほしのゆめ」を食味試験の基準米とした。
【結果】アンケート結果より米飯の嗜好に関して、外観では「つやつやしている」、「粒がしっかりしている」、香味では「好ましい香りがする」、「甘みを感じる」、食感では「ふっくらしている」、「粘りがある」が重視されていた。食味試験の評価結果において炊飯米外観と粘りの二項目が総合評価と強い正の相関関係にあり(P<0.01)、アンケート結果を反映していた。また、食味試験の各評価項目における試料間の比較では、「ゆめぴりか」はいずれの試料に比べ精白米外観、炊飯米外観の評価が有意に高く、粘りが有意に強かった(P<0.05)。「ゆめぴりか」の総合評価は「ほしのゆめ」、「コシヒカリ」(新潟、茨城)、「あきたこまち」および「ひとめぼれ」に比べ有意に高かった(P<0.05)。以上の結果から、外観評価が高く適度に粘りがある「ゆめぴりか」は、札幌市圏における消費者の嗜好性に合致した食味評価を有する可能性が高いと考えられた。