抄録
【目的】米を主食としている東南アジアには、様々な米の利用形態がある。米を浸漬、磨砕して「しとぎ」とし、重石を載せて多量の水分を除去、これを一部糊化させた後、沸騰水浴中に押し出す発酵米麺が食されている。しかし、麺にする工程で「ゆで」の操作を行うため、γ-アミノ酪酸はじめ多くのアミノ酸が湯浴中に流出することから、「ゆで」の工程を、「蒸気加熱」工程に変えることによりγ-アミノ酪酸はじめ多くのアミノ酸を麺中に保持することができる。今回は、改良発酵米麺の調理法を検討すると共に、改良米麺の表面構造について検討した。
【方法】2008年9月Sri. Sa Yam発酵米麺工場で、しとぎ塊を購入した後、クオティオ工場にて再度、改良発酵米麺を製造後、常温で乾燥し切断し試料とした。また、しとぎ塊も同様に乾燥して、しとぎ塊試料とした。一般成分(水分、灰分、たんぱく質、粗脂肪、有機酸、アミノ酸)を測定した。改良米麺の茹で操作による各成分の茹で水への流出を検討した。また、改良発酵米麺の表面構造を走査電子顕微鏡により観察し、日本式のうどんと、焼く操作を伴うタイ式の焼きうどんの試作を行なった。
【結果】たんぱく質は、米、しとぎ塊、麺の順に減少の傾向を示した。アミノ酸は、米からしとぎ塊になると変化し、しとぎ塊で増加していた。茹で汁には、約6割のアミノ酸が流出することが明らかとなった。改良発酵米麺の表面には、直径1~2μmの穴が多く見られた。茹で汁をそのまま使用した、うどん等の麺は、塩味を強く感じた。