日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a6
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口頭発表
小麦粉代替としての米および雑穀粉類の基礎調理特性
*井部 奈生子大坪 俊輔和田 淑子肥後 温子
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抄録


【目的】近年,食物繊維が多い,低アレルギー,自給率が高い等の理由から全粒粉,米粉,雑穀粉等が見直され,菓子の材料が多用化している.そこで,製菓適性を探るため,多種類の米および雑穀粉について,基礎的知見を得るための実験を行った.また,小麦代替素材として基礎調理特性を検討するために,水を添加した生地および蒸し,焼き,乾燥した試料について圧縮破断特性を比較した.
【方法】薄力小麦,薄力全粒小麦,日本米,タイ米,玄米,赤米,コーン,そば,ライ麦,はと麦,ひえ,あわの全12種の穀粉の粒度を最終篩200μm以下にそろえ,さらに 180℃20分焙煎した24穀粉について, 1)粒度,2)調湿後の収着水分量,3)加水後の生地物性,4)湿熱,乾熱,乾燥後の物性を調べた.加水量は粉100に対し,未焙煎粉は水50 (重量比)と70,焙煎粉は水70と100とし,生地,オーブン焼き(180℃10分,同15分加熱後140℃乾燥),蒸し(95℃7分蒸し,同140℃乾燥)の試料を作成した.5)粘度(アミノグラフ)を調べ,破断特性の差を考察した.
【結果】1)12種の穀粉の成分は糖質67~80,たんぱく質4.4~13.7,脂質0.9~2.6,食物繊維総量0.5~12.2,灰分0.3~1.5であった. 2)焙煎前の水分量は12.0~14.2(質量基準%),焙煎後は1.2~3.8,L値は焙煎前67.5~89.6,焙煎後60.2~88.8であった.3)生地および加熱後の圧縮破断物性にはある程度の相関があり,ライ麦,薄力全粒小麦,はと麦,あわが硬くなる傾向がみられた.なお,加熱・乾燥により硬くなる傾向があり,蒸し加熱後乾燥したものが最も硬かった.4)焙煎後の試料は,最大応力が低下する傾向があり,未焙煎試料にみられた付着性が消失していた.

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© 2009日本調理科学会
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