抄録
【目的】大豆醤油に対する嗜好性は地域特性が顕著である。一方、魚醤油は独特の風味を有することから、日本における伝統的な使用ならびに用途は限定されている。そこで、かけ醤油としての使用を目的として、塩分および魚臭さを低減したトビウオ魚醤油(魚醤油)に対する嗜好性の特性を調べた。
【方法】試料として、トビウオを原料として、低塩分で魚臭さを低減した魚醤油「飛魚の雫」を用いた。試料の嗜好性の調査は様々な地域の出身者が暮らしている東京圏の一つである横浜市北部における百貨店で催された物産展で行い、50名の回答を得た。回答者に関する調査項目は「神奈川県在住年数」、「出身県」、「年代」、「性別」、「魚の好き嫌い」とし、試料の嗜好性に関する調査項目は、「塩辛さ」、「旨味」、「香り」および「総合評価」とした。
【結果】「塩辛さ」、「旨味」、「香り」および「総合評価」は回答者に関する調査項目の何れとも明確な関係が得られなかった。「塩辛さ」は平成12年国民栄養調査結果における1日の塩分摂取量の分布と高い相関性が得られた。「旨味」および「香り」はマークスJPが2005年9月に行なった自主調査における鮮魚の購入頻度の分布と対応する傾向が認められた。以上より、魚醤油の商品特性と購入層の推定の可能性が示唆された。