日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a4
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口頭発表
咀嚼機能に及ぼす増粘剤の影響
*佐川 敦子小暮 英梨子中島 綾村上 伊都小林 奈央樹森高 初惠
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抄録


【目的】食品を嚥下するためには、咀嚼により食片サイズを小さくすること、唾液との混合により食物の表面が滑らかになることなどの条件を満たす必要がある。また、咀嚼機能が低下している人に対しては食塊をまとまりやすくする増粘剤が利用されることが多い。これまでに、増粘剤が食物の破砕に与える影響について検討した例はみられない。そこで、本研究では増粘剤に固形試料を分散したモデル試料を調製し、固形試料の咀嚼に及ぼす増粘剤の影響ついて数値的に解析を行い、物性特性、官能評価や食塊の移動速度とあわせて検討した。
【方法】固形試料には10×10×20mm3の直方体に切断した魚肉ソーセージ(日本水産)を、分散媒には貯蔵弾性率および硬さが同程度の3種の増粘剤(キサンタンガム、グアーガム、馬鈴薯澱粉)と水を用い、両試料を0、25、50、75、100w/w%混合して試料とした。1回の咀嚼量は6gとし、被験者は20歳代10名とした。固形試料の食片サイズ解析は画像処理ソフトImage J、統計ソフトRを用い、嚥下時の咽頭部での食塊の移動については超音波画像診断装置(東芝メディカル社製)を用いて測定した。また、テクスチャー特性をレオナー(山電製)により測定し、あわせて官能評価を行った。
【結果】 咀嚼後の食片サイズが小さく、咽頭部での食塊の移動速度を最も抑制する効果があるのはキサンタンガム25%添加試料であった。官能評価では分散媒の添加割合が高いキサンタンガム75%添加試料が最も噛みにくいと評価され、水添加試料は分散媒無添加試料より噛みにくいと評価された。

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© 2009日本調理科学会
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