日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-a5
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口頭発表
果物等のセミドライ食品の開発―中温処理と冷風乾燥の組み合わせ法―
*蓮沼 良一前田 文子臼井 照幸小澤 陽子阿久津 毅三枝 弘育船山 敦子福永 淑子
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抄録


【研究目的】おいしいセミドライ製品の製造方法を確立することを目的とし、オーブンレンジにより中温(60〜100℃)で短時間処理し、その後に冷蔵庫内で冷風(8~12℃)によって乾燥してセミドライ製品を製造した。その製品の調理性、成分変化および官能評価を実施して、この中温処理と冷風乾燥を組み合わせたセミドライ法の特徴について検討した。
【方法】中温処理は、Hitachi MRO-CV100とMRO-CV200水蒸気オーブンレンジを用いて1時間程度処理した。冷風乾燥は、Hitachi R-SF60XM冷蔵庫を用いた。タンパク質のアミノ酸組成は塩酸加水分解法で行い、遊離アミノ酸分析はホモジナイズ・トリクロロ酢酸処理後、HitachiL-8900アミノ酸自動分析計を使用して行った。官能評価は2点嗜好試験法で行った。
【結果と考察】果物類は、中温処理したものを冷蔵庫で冷風乾燥させて重量が半分以下に減少するまでセミドライすると、歯触りが良くなり、糖度は上がり、風味が生のものとは違った食感のものが出来た。また、従来のドライフルーツ(糖分無添加)や冷風乾燥だけのセミドライ製品よりも濃厚な味になり、保存性も高まり完成度の高いセミドライ品に仕上げられることが分かった。肉類についても、美味しいセミドライ製品が出来ることが分かった。中温処理と冷風乾燥の組み合わせ法では、従来のドライフルーツやビーフジャーキーより素材の味が生き、果物についてはお菓子類等に利用しやすいと考えられる。これら調理法は、自宅でも可能であり、食育やスローフードに繋がり、余剰農産物の消費・自給率向上や食品廃棄物減少の抑制に寄与できると考えられる。

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© 2009日本調理科学会
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