抄録
【目的】全身に張り巡らされている毛細血管は、酸素や栄養分を末端組織に運び、細胞が生命活動するために重要なものである。毛細血管をそのまま顕微鏡で観察することは、採血をしないで、血管の状態を手軽に知ることができる。今回は、日常生活の中で運動や食品が毛細血管の状態や血液レオロジーにどのような影響を及ぼすか検討した。
【方法】日常の運動量の違いによる影響を見るために、本学ソフトボール強化チームの学生と管理栄養学科の学生を対象に、血管径・本数・血流の速度を計測した。また、食品摂取と血管径・本数・血流の速度の関係を調べるために、レモンとトマトを用い摂取する直前、摂取30分後、1時間後に測定した。測定には夏目光学株式会社製 毛細血管観察装置「指先健人」を用いて行った。この装置は、採血なしで指の毛細血管の状態と血流の様子をパソコン上で確認できる装置である。
【結果】ソフトボール強化チームの学生と一般の学生の毛細血管の比較実験では、正常な形の血管本数に有意差が認められたが、血管径・血流の速度には有意差がみられなかった。この結果から、運動量の違いによって血管径・血流の速度は変わらないが、運動量が多いと正常な形の毛細血管の本数は多くなると考えられる。レモンの効果に関しては、希釈レモン果汁を飲用した30分後に血流が早くなり、1時間後は30分後に比べて遅くなった。トマトでは、飲用前よりも30分後、1時間は速くはなったが、希釈レモン果汁の飲用よりは遅くなった。この結果から、希釈レモン果汁の飲用が、最も血流に及ぼす影響が大きく、血流の速度を速める効果が高いことが明らかになった。