抄録
【目的】精神疾患患者は一般成人より肥満傾向が強く、精神科を退院した後は体重が大きく変化をする事が言われている。しかしながら、体重の変化が食生活あるいは活動量の何が要因となっているのかは不明な点が多い。そこで我々は、食生活の面から地域で生活する精神障がい者がどのような自炊調理を行って生活しているのか現状を明らかにする事を目的とした。
【方法】地域で生活している精神障がい者32名を対象に、食事調査を実施した。食事調査は、3日間の間に口にした全ての食べ物を食事記録用紙へ記入し、更に食前と食後をカメラで写真撮影する事を依頼した。記録用紙と画像分析から、日常の調理作業の有無と食事内容から栄養価計算を行い、自炊をしていない対象群と比較検討した。
【結果】3日間の食事記録と写真撮影をする事ができた者は30名(94%)で、そのうち自炊を行っている者は19名(63%)であった。調理作業として「煮る」、「焼く」が主な方法で、「和える」調理はほとんど見られなかった。食事内容については、毎日同じ食品を同じ食事区分に食べる傾向がみられ、「主食のみ」や「主食に汁物のみ」「主食に副菜1品のみ」などの組合せが目立った。また、調理加工済み食品では惣菜の「コロッケ」を中食(なかしょく)として多く利用していた。食品群別摂取量では、海藻類、種実類の摂取量が著しく少なく、自炊をしている者は対象群に比べて緑黄色野菜の摂取量が有意に少なかった(p<0.05)。地域で生活する精神障がい者がQOLを保ちながら自立した食生活を送るために、簡単な調理作業で多種類の食材を適切な量を用い、主食・主菜・副菜を揃えられるような調理支援が必要である事が示唆された。