日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-13
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朝食の欠食が思春期後の女子大学生の生殖機能に悪影響を及ぼす可能性について
*藤原 智子
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抄録

【目的】 一般に食生活習慣は個人の健康に影響を及ぼす重要な因子であり、現在のみならず将来のQOLも左右するという観点からとらえるべき問題である。現在日本の若い女性の間には欠食、ファストフード摂取、食の洋風化および美容目的のダイエット等が広がっている。このような変化によって栄養環境の質が低下して心疾患や代謝異常を引き起こすことが懸念されているが、最近では子宮体癌や乳癌などの生殖臓器疾患の誘因となる可能性も指摘されてきた1)。このような背景のもと本研究では特に若い女性の朝食欠食が月経障害の有無を含めた生殖機能にどのように影響するかを明らかにするためにアンケートによって実態調査を行った。
【方法】2001年から2007年までの7年間に18から20歳の女子学生1078名を対象にインフォームドコンセントを得た後にアンケート調査を行い、欠食の有無、月経痛の程度、月経周期異常の有無について1015名から有効回答を得た。
【結果】朝食の摂取状況によるBMI値の差違は認められなかったが、朝食欠食群に月経周期の異常が有意に観察され、また月経痛の程度も有意に強いことが示された。月経痛の原因には、視床下部ー下垂体ー卵巣系の機能的な障害と、子宮内膜症などの器質的な婦人科疾患の進展という二つの原因が挙げられる2)。本研究で得られた知見より、成因は不明ながら朝食の欠食が若い女性において婦人科疾患発症の誘因になっている可能性が示唆された。
1)Fujiwara T and Nakata R, Reprod. Med. Biol. 2004:3:107-114. Review
2)Fujiwara T et al. Int J Food Sci Nutr 2009 in press
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© 2009日本調理科学会
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