日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-25
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ポスタ-セッション
「精粉」粒子の表面観察とコンニャクデンプンの精製について 
*大野 婦美子笠井 八重子荒木 悦子山際 あゆみ釘宮 正往
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抄録


【目的】こんにゃくゲルの力学的性質はイモに含まれるデンプンによって影響されると考えられる.生イモから直接作られるこんにゃくゲルの物性は,弾力とともに表面の滑らかさや柔らかさが特徴的であり,この特性にデンプンがどのように関連しているかを明らかにしようとしている.そこで,今回はまずコンニャクデンプンの存在形態を生イモ,「精粉」,「飛粉(精粉の風選篩分過程で除去される粉)」を対象にして観察するとともに,デンプン含有率の高い飛粉からコンニャクデンプンを精製する方法について検討した.
【方法】広島県産コンニャイモ(在来種),在来種から作られた精粉,飛粉を試料とした.精粉は35~50meshを,飛粉は200mesh以上を用いた.観察は偏光顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により行った.コンニャクデンプンの精製は,まず飛粉に水を加え充分懸濁したものを遠心分離し,その不透明な上液を捨て(操作5回),沈澱部を0.3%水酸化ナトリウム溶液に浸漬した.これをさらに遠心分離して上液を除去し(操作3回),沈澱部を集め水洗いした後(操作2回),静置及びガラスフィルターによる濾過で精製し凍結乾燥により粉末を得た.
【結果】1.イモ切片,精粉,飛粉には大小様々な多角形のデンプン粒子が観察された.2.精粉粒子の表面にはサッカーボール様の模様が観察された.3.これは加水した状態で複屈折性を示したことから細胞壁と推定した.4.細胞壁の一部にはデンプン粒子が集団で存在しているものも観察された.5.飛粉からコンニャクデンプンを精製することができ,偏光十字を確認することができた.

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© 2009日本調理科学会
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