日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-26
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ポスタ-セッション
コンニャクゲル添加ソバ切りの調理麺としての有用性
*澤田 瑞恵粟津原 理恵細田 かおり土田 幸一長尾 慶子
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抄録


【目的】市販調理麺のソバ切り(麺)は半ゆでの麺を包装し、時間の経過を利用して硬さを調整するためコシがなくのびた食感となりやすい。本研究ではゆでたて麺の食感を保持した調理麺の調製法を見出すことを目的として、ソバにコンニャクゲルを添加し、物性および官能評価面から検討した。併せてゆで処理前後のソバのルチン含量の変動に及ぼすコンニャクゲル添加の影響を追究した。
【方法】試料はソバ粉と小麦粉を3:7で配合した粉(日穀製粉(株)製)にコンニャクゲルを0、10、20、30wt%添加し製麺した。市販調理麺を対照として、ゆでたて麺(ゆで時間3分)および1分30秒ゆでた後24時間冷蔵保存した各調理麺の破断特性を比較した。また各麺の外観、食感および嗜好性は官能検査により評価した。ゆで処理前後の麺のルチン含量は各試料を凍結乾燥後メタノール抽出し、液体クロマトグラフィーにより分析した。
【結果】市販調理麺はゆでたて麺(コンニャクゲル無添加)に比べて有意に破断応力および破断歪率が低く歯ごたえの弱い麺であった。ゆでたて麺および調理麺ともに10wt%コンニャクゲル添加麺の破断特性値が最も高く、添加量の増加に伴い破断応力が低下した。コンニャクゲル添加調理麺はゆでたて麺よりも破断特性値は低いが、市販調理麺と比較して破断歪率が有意に高値を示した。官能評価においても無添加と比較して10wt%添加麺は歯ごたえが強く総合的にも好まれたことから、調理麺の適度なコシを保つために10wt%程度のコンニャクゲルの添加が有効であると考えられた。また、ルチン定量分析結果からコンニャクゲルを添加することによりゆで処理によるルチン損失の抑制効果が確認された。

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© 2009日本調理科学会
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