抄録
目的:うどんやそばなどのめん類は主食として定着しており、若年層では米飯よりめんの嗜好性が高いといわれる。小麦加工品であるうどんやそばは、古くから伝統食として全国各地で受け継がれ、固有の食文化を形成している。本報では、若年層を対象としためん類の利用実態およびめんつゆの嗜好要因を調査し、その地域性を示唆した。
方法:2006年7月~10月に、東京、長野、大阪、奈良、香川、愛媛、福岡、鹿児島の各大学および短期大学9校で食物関連学科に所属する学生865人を対象に自記式質問用紙によるアンケート調査を行った。調査項目は、1.めん類の利用実態、2.うどんとそばの嗜好性、3.めんつゆの素材、4.めんつゆの嗜好性、5.めん類の嗜好におよぼすめんつゆの最も重要とする要因についての12項目である。結果は、地域別にクロス集計し、χ2検定を行った。
結果:めん類の嗜好性は、全地域で「うどん」(74.9%)が「そば」(24.5%)より高く、利用頻度は「週に1回」(45.6%)で、利用時間は「昼食」(68.3%)が最も多かった。関東や中部では「うどんは太く、つゆは温かく」「そばは細く、つゆは冷たく」の傾向がみられた。ゆで加減は「やや硬め」が好まれているが、九州では「軟らかいうどん、つゆは中温」が好まれた。めんつゆに使用するだしは「インスタント」(52.8%)が多いが、四国や九州は「かつお」「煮干し」などの魚だし、関西は「昆布」が多く使われていた。めんつゆに使用するしょうゆは、関東や中部が「濃口しょうゆ」、四国、関西、九州が「薄口しょうゆ」が嗜好されていた。めんつゆの最も重要とする要因は、うま味、塩味、色調の中ではうま味が最も高く、色調を嗜好要因とする割合は関西が最も低いことを明らかにした。