日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-65
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ポスターセッション
加熱調理器具の違いがコンソメスープの調理成績に及ぼす影響
プロの料理人の感覚を元に調理した場合
*杉山 久仁子杉山 智美
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抄録
【目的】プロの料理人(以下料理人とする)によるとコンソメスープを作るときの火力は仕上がりに影響する。加熱調理器具によって、鍋内のスープの温度上昇速度や対流の仕方が異なることは報告されているが、実際の調理においてその違いが調理成績に及ぼす影響の大きさを示すデータはほとんどない。本実験では、料理人の感覚を元に業務用のガスとIHの加熱器具を使用してスープを調理してもらい、調理中の火力変化およびスープの温度や性状の変化を測定し、スープの調理成績への影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】試料の材料および調整方法は、料理人が使用しているレシピに準じた。ブイヨン、コンソメはそれぞれ直径39cm(36L)、30cm(21L)の3層の寸胴鍋を使用し、業務用のガスまたはIHこんろを使ってフランス料理の料理人が調理した。火力調整と加熱終了はスープの状態から料理人が判断した。ただし加熱終了は、スープの仕上がり重量も参考とし、ほぼ同じ重量になるようにした。加熱中の試料温度、鍋側面温度、エネルギー消費量を記録し、スープの色、透過度、糖度、粘度変化を測定した。完成したスープについては、遊離アミノ酸18種の濃度測定、味覚センサーでの味の分析および官能検査を外部機関に依頼して行った。加熱器具に慣れるために数回予備調理を行ってから本実験に入った。
【結果】IHではコンソメの加熱初期において鍋底に焦げが生じやすく、火力を抑えて調理したため、温度上昇速度が遅く、調理時間が長くなった。スープの性状は加熱器具による違いはほとんどなかった。ブイヨンのアミノ酸濃度はIHの方が高くなる傾向にあったが、味については加熱器具による差は認められず、ほぼ同質のスープとなることがわかった。
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© 2010日本調理科学会
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