日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: A2a-9
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ポスター発表
アサリ水煮缶詰のビタミンB12含有量について
*植田 和美渡辺 文雄
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抄録

目的】日本人にとって二枚貝はビタミンB12の主な供給源である。中でもアサリは、日本食品標準成分表2010によると可食部100g当たり52.4μgとビタミンB12含有量が高い食品である。また、アサリ加工品である水煮缶詰(液汁を除いたもの)においても、63.8μg/100gのビタミンB12が含まれており、手軽な食素材であることからビタミンB12供給源と考えられた。さらに、これまでの研究から活アサリの「煮る」加熱調理では、ビタミンB12の煮汁中への移行が認められている。そこで、本研究ではアサリ水煮缶詰を固形物および液汁に分けて測定を行い、ビタミンB12含有量を明らかにすることを目的とした。
方法】3種類の市販アサリ水煮缶詰各5試料を用いて、ビタミンB12含有量を測定した。ビタミンB12の測定方法は、フードカッターにより均質化したアサリ固形物および液汁を分析試料とし、Lactobacillus delbrueckii subsp. Lactis ATCC 7830 によるバイオアッセイ法を用いた。
結果】アサリ水煮缶詰3種類のビタミンB12は、固形物中に17.4~39.4μg/100g、液汁中に6.3~8.8μg/100gが含まれており、製造元により含有量には差が見られた。また、日本食品標準成分表における水煮缶詰のビタミンB12含有量は液汁を除いたものとして示されているが、一缶に含まれるビタミンB12含有量の15~30%が液汁中に存在していた。つまり、液汁25g程度で成人の推奨量である2.4μg/1日を補完することが可能であると言える。このことから、アサリ水煮缶詰の利用方法としては、液汁も一緒に使用する調理方法がビタミンB12供給のためには有効であると考えた。

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