日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-4
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ポスター発表
マイクロ波炊飯を支配する米粒の誘電特性に関する研究
*大竹 麻未
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抄録

【目的】マイクロ波による加熱は,対象物の誘電特性に大きく影響される.一方,炊飯過程は加熱することで水および米の状態が変化していく複雑な系である.そのため,各段階で誘電特性が大きく異なることが予想される.そこで本研究では,経時的な変化に適した方法で誘電特性を測定し,マイクロ波を照射したときの発熱分布を得ることを目的とした.
【実験方法】試料には無洗米コシヒカリを用いた.まずは炊飯実験を行った.試料米に1.5倍量の水を加えて室温で30分浸漬し,電子レンジ500W相当で20分加熱した.このとき,容器内の各部位の温度は光ファイバー温度計を用いて測定した.
誘電特性はHewlett Packard製誘電率測定装置(HP85070B)で測定した.加熱初期は米粒の周りに水が多く存在しているので,水と米粒の混合体にプローブを接触させることで測定を行った.しかし,炊飯は加熱に伴って吸水や蒸発が進み,米粒の周りの水が減少して空気になる.そこで,加熱中盤からはペースト状の米粒と空気の混合体と見なし,それぞれ誘電特性を測定し,対数混合則を組み合わせることで推定した.
 【結果および考察】炊飯実験より,マイクロ波の炊飯過程では加熱開始から水の層が完全に消失するまでの昇温過程と,それ以降100℃を保持する過程の2つに分けられる.段階ごとに解析モデルを設定し,決定した誘電特性を組み込み,電磁界解析ソフトを用いて電界強度を計算した.それをもとに伝熱計算を行うことで各炊飯過程における発熱分布を得ることができた.全ての過程において,中心よりも側面の発熱量が大きく,時間が経過するにつれて全体の発熱量は小さくなることが示された.

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