日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-26
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ポスター発表
エコロジー調理に適した調理法の検討(2)
調理操作の違いが機能性に及ぼす影響
*高村 仁知宇田川 みすず深津 歩美北尾 悟安藤 真美的場 輝佳
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抄録

【目的】CO2排出量削減や原発再稼働問題など、エネルギー事情は逼迫した状況にある。調理において、調理機器・器具や調理操作の違いで消費エネルギー量は大きく左右される。しかし、エネルギーを節約して調理した食品の嗜好性や機能性が劣っていては意味がない。今回は、物性を同じ状態にした水煮調理品を試作し、調理操作の違いによる機能性の差異を解析し、エネルギー事情に配慮したエコロジー調理への可能性について検討した。【方法】試料はジャガイモ(北海道産メークイン)、ダイコン(徳島県産青首)を用いた。共に部位を揃え3cm角に調製した試料4つを1回の試料として調理法ごとに3回ずつ加熱調理した。今回は調味料を用いない湿式加熱である「ゆでる」、「蒸す」操作を選定し、ガスコンロ及び電子レンジを用い、調理器具と蒸らし操作の有無を組み合わせた8種類の調理法について比較した。アルミ鍋水煮における破断応力値を基準とし、他の調理法における調理時間を決定した。これらの試料について、抗酸化性をORAC法で、アスコルビン酸量をHPLCで、ダイコンのみグルコシノレート量をHPLCでそれぞれ測定し、比較・検討した。【結果】ジャガイモ、ダイコン共に、8種類の調理法で破断応力がほぼ同様の試料を得た。蒸らし操作は加熱時間を短縮できることからCO2削減には有効であるが、調理時間の増加により、機能性成分の煮汁への溶出が増加することから、煮汁ごと摂取する調理に用いることが有効と考えられる。また、調理に用いる水を削減しても機能性への影響は小さかったことから、適量の水を用いることが機能性を保持したままCO2排出量を削減することにつながると考えられる。

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© 2012 日本調理科学会
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