日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-25
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ポスター発表
ジャガイモ料理の抗酸化能を向上させる調理条件の検討
前澤 真知子粟津原 理恵石谷(佐藤) 久美遠藤 伸之原田 和樹*長尾 慶子
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抄録

[目的]ジャガイモはビタミンCなどの水溶性抗酸化成分を含有しているが、湿式加熱で調理されることが多いジャガイモ料理では、これらの損失により抗酸化能の低下が予測される。本研究では、加熱操作法、ジャガイモの品種、および添加する副材料の条件を変えたジャガイモ料理の抗酸化能を比較し、抗酸化能を高める調理条件を検討する。
[方法]男爵薯を用いて、加熱操作の異なる「粉ふき芋(茹で加熱)」と、「スチームポテト(蒸し加熱)」を調製した。抗酸化能は各試料を凍結乾燥後、水および70v/v%エタノールで抽出し、化学発光法によりペルオキシラジカル捕捉活性を測定した。次に、ジャガイモの品種を男爵のほか、北海こがねおよびキタアカリに変えたスチームポテトを調製し、抗酸化能を比較した。その結果から、抗酸化能の高い品種のジャガイモには、パセリの形態を生または乾燥パセリのみじん切りにしてイモのまわりにまぶして抗酸化能を測定した。
[結果]水抽出画分では,粉ふき芋に比べスチームポテトの抗酸化能が高いことが認められた。これは、茹でこぼしを伴う粉ふき芋試料では水溶性抗酸化成分のビタミンC等が茹で水中に流出したことが抗酸化能低下の要因として考えられた。スチームポテトの抗酸化能は、ビタミンCおよびカロテン含量が高いキタアカリ種を使用することで男爵や北海こがね種よりも有意に高くなった。さらに、生パセリを添加したスチームポテトの抗酸化能は,水抽出画分において無添加試料よりも有意に高くなり,生パセリの添加はスチームポテトの抗酸化能を高める有効な手法であると示唆された。この変化はエタノール抽出画分および乾燥パセリ添加試料では認められなかったことから、水溶性ビタミン類が損失している乾燥パセリよりも生パセリを使用する方法が推奨された。

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© 2012 日本調理科学会
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