日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-35
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ポスター発表
亜硫酸ビスマス培地を用いて鶏肉から分離したSalmonellaの真空調理下における生残性について
*坂根 千津恵大島 朗伸
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キーワード: サルモネラ, 真空調理
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抄録

【目的】新調理システムの一つである真空調理は,専用の袋に食材と調味液を入れて真空包装し,袋ごと加熱する調理法である。保存が可能なため計画生産ができ作業効率が向上すること,調理作業の平準化により味の再現性が向上すること,調味料の使用量が少量であることなどのメリットがある中,真空調理下における微生物汚染に関する安全性の評価を厳密に行わねばならないというデメリットもある。鶏肉において真空調理後の一般生菌残存率が高いという報告があることから,本研究では,鶏肉に接種したサルモネラの真空調理下における生残性について検証することを目的とした。
【方法】検体は松江市内のM肉店から購入した鶏肉を使用した。菌株は鶏肉から亜硫酸ビスマス培地を用いて分離したSalmonellaを用いた。増殖測定および真空調理下における生残性の測定を行った。
【結果】使用する検体の微生物汚染状況を確認した。一般生菌数は4.6×103 CFU/g,大腸菌群数は9.5×101 CFU/g,サルモネラ菌数は7.0×102 CFU/gであった。先行研究の結果と比較すると,衛生状態はおおむね良好であると考えられた。鶏肉から亜硫酸ビスマス培地を用いて分離したSalmonellaをTSB培地で培養した場合,約6時間で対数増殖期後期から定常期へ移行した。その培地の濁度とコロニー数の関係を調べた結果,対数増殖期後期には105~107 CFU/mlまで増殖していた。この菌液を鶏肉に接種し真空調理を行い各工程におけるSalmonellaの生残性を調べた結果,菌液接種直後は105 CFU,真空包装後は104 CFU,加熱後は0 CFU,冷蔵保存後は0 CFU,再加熱後は0 CFUと減少した。

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© 2012 日本調理科学会
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