日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-34
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ポスター発表
市販食用塩の結晶形および粒子径が調理性に及ぼす影響
*関本 美貴大橋 きょう子
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キーワード: 市販食用塩, 結晶形, 粒子径
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抄録
【目的】近年、成分組成のみならず結晶形や粒子径などの異なる食用塩が多数生産されるようになり、現在国内で市販される食用塩は800種を超えるといわれている。食用塩の成分組成および結晶形や粒子径などの物性の違いは、塩味の強度のみならず、計量・振り塩などの調理操作に影響を及ぼすことが考えられる。そこで本研究では市販食用塩の結晶形および粒子径の違いが、調理の基本操作に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】市販の「食塩」(NaCl 99.67%)を対照とし、結晶形の異なる市販食用塩を試料とした。結晶形はa立方体、bフレーク、c凝集、d大きな結晶を粉砕したもの、の4種類であり、各結晶形の食用塩の中から平均粒子径が異なる計8種類を選択した。調理の基本操作である計量と振り塩を想定して以下の測定を行った。①かさ密度の測定;5mlおよび15mlのステンレス製計量スプーンすり切り一杯の重量を、繰り返し30回ずつ測定し平均値を求めた。②振り塩による塩の分散状態の解析;0.4gの試料塩を同一条件で黒紙上に散布し、分散状態を撮影した。画像解析ソフトWin Roofを用いて、一定面積内の塩粒子の個数および粒度分布を解析した。
【結果】①かさ密度は、bが粒子径のいかんに関わらず対照試料の約67%ともっとも少なく、a,c,dは約70~96%の範囲であった。この結果は、家庭等で一般に行われる調味方法では塩の種類により塩味が大きく異なることを示すものである。②振り塩の結果、対照試料では100㎝2当たり約2600個の粒子が分散した。対照試料より分散した個数が多かったのはdのみであり、他の試料は対照試料のわずか24~44%であった。とくにフレーク結晶のbにおいては、水分含量が1~11%と異なるにも関わらず分散状態が近似していた。今後物性および成分組成を含めて総合的に検討する予定である。
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© 2012 日本調理科学会
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