日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-39
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ポスター発表
環境に配慮した手洗いと衛生についての考察
*三神 彩子荒木 葉子笹原 麻希布俣 智美長尾 慶子
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抄録

【目的】エコ・クッキングによる手洗い,食器洗い時の工夫として,これまでにため水の使用や水量の調節,汚れの拭き取り,こまめに水を止めることによる水量削減効果を確認している。本研究では,節水と衛生に焦点を当て,手洗いと食器洗浄において衛生的かつ環境に配慮した洗い方を導入することを鑑み,その洗浄効果を明らかにすることとした。【方法】手洗いでは[石鹸(洗剤)・流水(通常法)],[石鹸(洗剤)・ため水・流水(エコ法)]とした。手洗い後,それぞれにATPふき取り検査を行い,水の使用量も計測した。食器洗浄では一食分の調理を想定し,カレーライス,ミックス野菜サラダ,漬物,麦茶を調理後,上記通常法、エコ法のそれぞれの洗い方で洗浄し,ATPふき取り検査,さらに残存たんぱく質量,水の使用量を計測・比較した。さらに,器の形状や素材によって差があるかどうかをみるため、平皿,カップ,六角皿,ガラス皿,椀,深鉢について同様の調査を行った。【結果】結果として,手洗い後のATP値[RLU]は,通常法,エコ法ともに衛生的に問題ない基準値(1000[RLU])以下であり,有意差は見られなかった。しかし、水の使用量は通常法5.8L,エコ法2.4Lとなり約60%を削減できた。上記モデル献立の食器洗浄では,食器の残存たんぱく質量(μg),ATP値[RLU]ともに衛生的に問題ない基準値(25μg,100[RLU])以下であり,いずれも有意差は見られなかった。一方,水の使用量は通常法14.5L、エコ法2.8Lであり約80%を削減できた。また,器の形状や素材を変えた実験でも同様の効果を確認した。以上より,今回提示した環境に配慮した洗い方は通常の洗い方と同程度の洗浄効果があり,水の使用量は大幅に削減できることが明らかとなった。

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© 2012 日本調理科学会
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