日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-46
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ポスター発表
アカモクの洋食料理への応用
*荒木 葉子笹原 麻希
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抄録
【目的】演者らは、福島第一原発から流出した放射能汚染水によって風評被害を受ける水産業を応援するために、三陸地方で豊富に採取されるアカモクの料理への応用拡大について提案しようと考えた。食品中に含まれるカリウムやカルシウムは、人体に有害なミネラルを体外へ排泄する働きがあるとされる。臨床段階であるが、カリウムやカルシウムを十分に摂取することによって、それぞれセシウムやストロンチウムの排出が期待されている。また、カリウムの高血圧抑制効果はカルシウムと併せて摂取すれば、相乗効果によりさらに高められることがわかっている。以上のことを踏まえて、アカモクを応用した洋食料理のレシピ作りを検討した。
【方法】アカモクの洋食メニューを検討した結果、キッシュやグラタンなど数種の牛乳料理レシピを用いて検討することとした。アカモクの一般成分は常法により、ミネラル含量は原子吸光方法により分析した。次に、全体の水分を調整しながら料理の試作を行った。試作品は、アカモクを使用しないものと合わせて、外観のよさ、香りのよさ、味のよさ、歯ごたえなどの項目について官能試験に付し、比較評価を行った。
【結果】料理のうち、アカモクのキッシュは、牛乳と混ぜることで海藻由来の磯臭さが軽減して好ましく、アカモクの繊維質により少量で満腹感が得られることがわかった。キッシュ100gあたり、カリウム量は647mg、カルシウム量が243mgとなった。また、グラタンではアカモク入りはカリウム量746mg、カルシウム量244mgとなり、キッシュ同様アカモクなしよりも高値を示し、ミネラル摂取に有効と考えられた。官能検査では、歯ごたえについて5%危険率でアカモク入りのものが有意に好まれた。
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© 2012 日本調理科学会
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