抄録
【目的】生活習慣病の発症予防のためには、食べ物の味の強さについても考慮する必要がある。呈味物質としては、食塩や砂糖の過剰摂取が、生活習慣病発症リスクの要因として挙げられる。本報告では、テクスチャーと味の強さの相互関係について、分子量の異なる三種類のアガロースゲルを用いて、咀嚼回数によるテクスチャー特性及び呈味強度により検討した。
【方法】分子量の異なるアガロースABC(分子量:A>B>C)を用い、15mm角にカットした2.0%のアガロースゲルを試料とした。呈味物質には、ゲル形成に影響を及ぼさないアスパルテームを用いた。各試料を1、3、5、10、15、20、25、30、50回咀嚼して、定速圧縮によりテクスチャー特性値を測定し、あわせて尺度法により官能評価を行った。
【結果】テクスチャー特性では、どの分子量のアガロースゲルも10回咀嚼までは、かたさは著しく低下した。凝集性、付着性では、咀嚼回数の増加に伴い大きくなった。中でも、アガロースAの凝集性においては、その変化が緩慢であった。また、呈味強度については、同じ咀嚼回数における、アガロースABC間に有意差は認められなかった。咀嚼回数の程度によっては、呈味強度に有意差が最も大きく認められたのは、アガロースBであり、アガロースCで最も少なく、アガロースAはその中間にあった。