抄録
<目的>現在、外食産業や中食といわれる惣菜などの利用が多くなり、以前は主に家庭内で行われていた食事作りが減少のする傾向がみられる。また高校までの家庭科教育での調理実習の機会も減少している。本研究は、大学入学時の学生の調理技術を明らかにし、大学入学までの調理経験が調理技術にどのような影響を及ぼしているかを検討した。<方法>栄養士・管理栄養士を目指ざし入学した女子学生(高校卒業後2年以内)95名に対し、入学時の4月にアンケート調査を行った。アンケートの内容は小学生から高校生までの調理に関する手伝いの頻度、高校での実習回数、現在の料理頻度、また高校の家庭基礎、家庭総合の教科書、大学生対象の調理学実習のテキストから日常的な料理を100品選び、何も見ないで作れる、レシピを見れば作れる、名前を知らない等6段階で質問した。<結果>高校3年間の実習回数は、3~5回が48.4%、6回以上が30.5%であった。自分の料理に自信があるかの問いには「あまりない」「ない」が計77.9%で「やや自信がある」の22.1%を大きく上回った。調理技術についての質問では炒飯、ポテトサラダ、カレーライスなどは50%以上の学生が何も見ないで一人で作れると回答した。また名前も知らない料理には潮汁49.5%、ブラマンジェ45.3%、紅白なます29.5%、白和え16.8%、かきたま汁15.8%などが挙げられた。調理経験に関する質問では、小学生と中学生の手伝いは相関係数0.86と高い相関が認められ、手伝う子どもは中学生、高校生でも手伝う習慣がある事がわかった。高校生の手伝いの頻度と現在の料理頻度には低い相関がみられた。しかし現在の料理頻度と料理に対する自信、高校での実習回数は相関がみられなかった。