日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1A-a4
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口頭発表
咀嚼に関与する摂取行動調査
*澤田 崇子山田 正子瀬戸 美江藤本 健四郎
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抄録
【目的】2009年、厚生労働省から、食を通して健康寿命を伸ばすことを目指した「噛ミング30」が公表された。また、早食いと肥満との間には強い関連が認められることが明らかになり、「咀嚼法」が臨床の場で肥満症や糖尿病患者などに対して行動療法として行われている。平成20年厚生労働省国民健康・栄養調査報告では、やせの者(BMI<18.5)の割合は、女性では20歳代で22.5%と最も高くなっている。食べる器官である口腔の健康と関連させて、健康づくりの視点から「食育」を推進していくことが求められているが、やせの割合が高い20代の女子学生が、より多く噛むことで、食事量が今より少なくなるのは問題である。そこで、女子学生を対象に普通の咀嚼と一口30回を目標に咀嚼した時の食事量を調査し、今後の課題を検討した。
【方法】噛むことに関するアンケート調査は女子学生471名を対象に自記式記述法を用いて行った。食事調査は、女子学生10名を対象に秤量記録法を用いて、普通咀嚼の場合と30回咀嚼を行う場合の各7日間行った。また食事の様子をデジタルビデオカメラなどで撮影し、数取器で噛む回数などを計測した。
【結果】噛むことに関するアンケート調査では、30回噛んでいる、できる限り多く噛むように意識している女子学生は全体の25%程度で、噛むことを意識していない女子学生が50%程度認められた。また食事調査から、よく噛むことによって、エネルギー量は減少することはなかったが、よく噛むことを続けるためには、元々よく噛んでいたという習慣がなければ、食習慣の変容につながらなかった。ゆっくりとよく噛んで食べるという正しい食習慣を、早くから身につけさせる必要が求められる。
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© 2012 日本調理科学会
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