日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a2
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口頭発表
葛澱粉ゲルの力学特性に及ぼすショ糖とゴマ油添加の影響
*佐藤 恵美子玉木 有子
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抄録

【目的】 ゴマ豆腐の力学的性質に関する研究を行ってきたが、ゴマ豆腐はゴマと本葛澱粉を主体とした混合ゲルであり、ゴマ由来の油脂を含有する。新潟のゴマ豆腐は甘味が強く和菓子感覚で供される。本実験では葛澱粉ゲルの力学特性に及ぼすショ糖とゴマ油添加の相互作用について検討した。
【方法】 葛澱粉ゲルの調製は、開放系「煮詰め法」により行い、本葛澱粉40g、加水量400gとし、ショ糖は無添加(0g)、10g(ショ糖濃度2.2%)、20g(4.4%)、30g(6.4%)である。ゴマ油は無添加(0g)、5g(ゴマ油濃度1.1%)、10g(2.2%)、15g(3.3%)添加し、攪拌した試料を直径20mm、高さ20mmのテフロン製円筒リングに流し入れ、上下をガラス板で密閉し、10℃で保存後破断測定、クリープを測定し、調製後5日間のコンプライアンス値の経時変化を測定した。官能検査はSD法及び順位法を用いた。
【結果及び考察】 瞬間弾性率(E₀)は、ショ糖及びゴマ油添加量の増加に伴い低下した。全試料のコンプライアンス値は、貯蔵日数に伴い低下した。ショ糖含有試料は、ゴマ油添加の増加に伴って老化しにくくなった。破断測定結果から、全ての試料が延性破断を示した。破断応力と破断歪率はショ糖添加により増大し、ゴマ油添加により低下した。ショ糖の保水性によりゲルを安定化させ壊れにくくし、ゴマ油の疎水性によりゲルの内部結合力を弱め、軟らかくなると考えられ、ゴマ油添加により老化しにくい傾向がみられた。ショ糖よりもゴマ油添加の方が老化抑制への影響が大きいと考えられた。官能検査結果から、ショ糖及びゴマ油の添加は、粘り、口当たりのなめらかさにおいて高く評価された。

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