【目的】餅・団子等の米粉ゲルは時間経過と共にデンプンの老化により硬くなる傾向がある。一般的に硬化を抑制する方法として糖類や酵素を添加する等の方法が知られている。本研究では、米粉ゲルの硬化抑制技術を見出すことを目的とし、米粉から作る餡である米餡を形成する方法を利用して米粉ゲル様の組成物を作製し、硬化の進行の度合いを米粉ゲルと比較した。そして米餡の餅製品へ応用が可能であるかを検討した。
【方法】糯米のみやこがねもち、粳米のひとめぼれ、低アミロース米のたきたて、LGCソフト、ゆきむすび、淡雪こまち、ミルキープリンセス、ミルキークイーンの8品種をミルで粉砕し、60メッシュの篩を通過した米粉を供試した。米粉濃度40%(w/w)に調製し加熱した(100℃,1h)米粉ゲル、この米粉ゲルに糖類を添加した糖類添加米粉ゲル、米粉と糖を混合して加水し加熱した(80℃,2h)米餡を作製した。糖類添加米粉ゲルにはマルトース、トレハロース、ショ糖を使用し、米餡にはマルトースを使用した。調製した米粉ゲル、糖類添加米粉ゲルおよび米餡を低温保存し、テクスチュロメーターの1バイト測定により、硬さの経時変化を測定した。
【結果】米粉ゲルの硬さを品種間で比較すると、8品種の中ではひとめぼれ(粳米)が最も硬く、他の7品種はひとめぼれの硬さの値の2/3以下となった。糖類を添加した場合、マルトースおよびトレハロースは硬化を抑制する効果が見られ、ショ糖は効果が少なかった。米餡においては最も硬化が抑制されており、ほぼ同量のマルトースを添加した米粉ゲルと比較して硬さの値が低く抑えられた。