抄録
[目的]市販米粉は、産地や製粉方法等、消費者が再現性のある製品を作るために必要な情報がほとんど表示されていない。そのため米粉加工製品の出来上がりのおいしさに差が生じ、常に再現性のある高品質な製品を作ることが難しい。そこで米の品質が明らかな米を用い、その米をペースト状に調製し、調理・加工が可能な新規な製造技術マニュアル化を行い、そのおいしさ評価法の確立を目的とする。
[方法] 試料の平成23年富山県産古代米は、搗精歩合を玄米、3分、5分、7分とし、抗酸化性、吸水率、色度を測定した。ペーストは、20℃24時間浸漬後の試料をフードプロセッサーで撹拌し調製した。ペーストおよびそれにコンニャクグルコマンナン(KG)添加試料について粘度およびアミログラフを測定し、糊化特性を求めた。ペーストを基にしてグルテン無添加パンおよび麺を調製し、そのおいしさは官能評価により評価した。
[結果]米の吸水率は、浸漬4時間で赤米より黒米が4~6%高く吸水し、しかも玄米・3分は5分・白米より吸水率が高いことから糠層を無駄にしない抗酸化力の強い玄米での加工利用が可能なことが示唆された。アミログラフによる糊化温度では、KG添加により開始温度が低くなった。つまり無添加より糊化が早く始まり、最高粘度も高く、最終粘度は搗精度に関わらず310~360B.U.を示し、ブレークダウンも20B.U.で小さく、KG添加で老化抑制効果が認められた。ペーストの活用は、今までの調理加工に新たな高品質製品を生み出し、より広範囲な製品開発に応用できる。