日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p1
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口頭発表
希少糖D-プシコースを用いて調製したすし酢と黒豆の特徴
*阿津坂 尚子伊藤 友希山崎 あかね早川 茂島田 和子
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抄録
【目的】希少糖D-プシコース(Psi)はスクロース(Suc)の約70%の甘味で、エネルギーがほぼゼロのノンカロリーシュガーである。Psiは食後血糖値上昇抑制作用や体脂肪蓄積抑制作用等の機能性を有し、安全性にも問題がないため、食品への利用が期待される。今回、Psiを用いてすし酢と黒豆の調製を行い、Suc、マルチトール(Mt)、エリスリトール(Et)の各糖による調製品と比較した。
【方法】すし酢は米酢、糖、食塩を用いて調製した。各すし酢で調製したすし飯の官能評価と4℃24時間保存後の老化度(硬さ、難消化性澱粉(RS)含量)の測定を行った。すし酢の30℃6ヵ月間保存中の安定性は褐変度(420nm)と糖残存率(HPLC)で調べた。黒豆は黒大豆を調味液(水、糖、醤油、食塩)に浸漬後、圧力鍋で調製した。黒豆の重量増加率、硬さ(物性測定装置)、色調(測色色差計)の測定、官能評価を行った。
【結果】すし飯の官能評価では、Psiのすし飯は他の糖のすし飯と味質や嗜好性に大きな差はなかった。4℃24時間保存後のすし飯の硬さはEt≫Suc>Psi=Mtの順にかたく、RS含量はSuc=Psi≧Mt≧Etの順に多かった。このことから、Psiのすし飯の老化度は、Sucのすし飯と同程度であった。すし酢の30℃6ヵ月間保存中に、Sucは加水分解し大きく減少したが、PsiはMtとEtと同様に減少量は少なく安定であった。Psiで調製した黒豆の重量増加率(乾燥大豆重量に対する増加割合)と硬さは、SucとMtの各黒豆と同程度であった。Psiの黒豆は赤みを帯び(a*値の上昇)、官能評価でも見た目(色、つや)は他の黒豆より有意に悪いと評価された。また、総合的なおいしさはやや劣ると判断された。
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© 2012 日本調理科学会
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