日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-11
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ポスター発表
正月料理に関する意識とその内容の変化
*秋山 久美子
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抄録

【目的】 日本人の食生活は変化しつつあり、行事食に対する考え方もまた変化していると言われている。そこで、日本の行事食の中でも比較的伝統的な形を保っている正月料理を取り上げ、20年前の調査結果と比較検討を行うことでその実態を把握し、これからの行事食のあり方を考える。
【方法】 栄養士を養成する学科の学生の家族(主として正月料理を準備する人)を対象として2009年に自記式によりアンケート調査を実施した。その結果を同短大の学生の家族に対して1988年から1989年に実施された由比ら1)の調査結果と比較し、正月料理に関する意識とその準備内容について20年間の変化を明らかにし、考察を行った。
【結果】 行事に関する関心度では、正月を盛大に祝う家庭が22.4%から8%に減少し、控えめに祝うが7.3%から15%に増加していた。このことから、20年間で正月への関心度が低くなっていることが分かった。正月料理の準備方法は、すべて手作りは6%であり、20年前の17.4%から減少が見られたが、すべて市販品と答えた人は、0.4%から1%への増加にとどまった。これは、誕生日の食事がすべて市販品だと答えた人が1.9%から10%に増加した結果と比べると、正月料理が食文化の中で特別な意味を持っていると考えられた。
 正月料理のうち、手作りで準備される割合が多かった料理は、「野菜の煮物」52%、「紅白なます」50%、「黒豆」36%であった。それらの作り方は、テレビ、雑誌などのメディアではなく、「親または知人から教えてもらった」、「先祖代々の味である」という回答が多かったことは興味深かった。
1)由比ヨシ子:昭和女子大学女性文化研究所紀要 第5号 (1990)

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