日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1P-44
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ポスター発表(1日目)
凝乳性プロテアーゼの特性
*高橋 真美松本 孝
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抄録
【目的】チーズ製造に使用される凝乳酵素は、工業的規模で量的にも価格的にも子牛レンネットに代替の凝乳酵素の開発が要望されている。凝乳酵素に要求される重要な特性は、凝乳活性(Milk Clotting Activity:MCA)とタンパク分解活性(Proteolytic Activity:PA)のバランスで苦味の生成を抑え、子牛レンネットに近い特性を有することである。本研究では、自然界から子牛レンネットに近い性質を有する微生物凝乳酵素の獲得を目的に土壌から検索を行い、MCA/PA比が高い菌株の酵素特性を検討した。
【方法】土壌を分離源とし、ポテトデキストロース寒天平板を用いて糸状菌を分離した。菌株を小麦ふすまに培養し、遠心分離後、上清液を濾過した。粗酵素抽出液についてMCAおよびPAを測定した。
【結果】糸状菌16菌株を分離し、その結果、5菌株にMCAが認められた。分離菌株の中でMCA/PA比の高い2菌株について、分離菌株を小麦ふすまに培養し、粗酵素抽出液についてMCAに及ぼす反応pHおよび温度の影響をpH5.2-7.0間で検討した。凝乳活性に及ぼすpHの影響はpHが低下するほど増加した。しかし、2菌株ともにpH6.85では凝乳活性は認められなかった。さらに、反応温度の影響については、30℃、35℃および40℃の3段階で測定した。その結果、2菌株ともに反応温度40℃が最も高いMCAを示した。PAでは反応pH6.5、反応温度50℃が最も高い活性を示した。これらの結果から、今後、分離菌株の粗酵素液を精製し、過剰なPAの制御などを検討することで実用化に向けて有望な菌株として活用できる可能性が示唆された。
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© 2013 日本調理科学会
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