日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2E-p4
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口頭発表
リンゴの果皮と果芯の有効利用に関する研究
*三森 一司新谷 愛内藤 彩希
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キーワード: リンゴ, 食物繊維, 糖蔵
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抄録

リンゴの果皮と果芯の有効利用に関する研究
○三森一司1),新谷愛1),内藤彩希1)
1)聖霊女短大
 目的リンゴを生食する際には、通常果皮を剥き、果芯は廃棄されることが多い。本研究では、果実に占める割合が15%と多いリンゴ廃棄部分の有効利用を図るために、果皮と果芯の一般成分を測定し、貯蔵中のビタミンCの変化や、果皮に含まれる食物繊維量について検討を加えた。また、糖蔵原料としての特性を見るために、濃度の異なる砂糖溶液に果皮及び果芯を浸漬し、その経時変化に関しても若干の知見を得たので報告する。
方法試料として秋田県産のリンゴ(ふじ)を用い、リンゴ皮剥き器で果皮を、芯抜き器で果芯を調製した。一般成分は常法に従い、食物繊維量はプロスキー変法で、還元型ビタミンCはインドフェノール法、総ビタミンCはヒドラジン法で行った。砂糖溶液の濃度は10~30%とし、浸漬期間は果皮の場合は2週間、果芯の場合は1週間行った。
結果リンゴ果皮の脂質含量は、可食部の約15倍と多く、食物繊維は同じ仁果類のなしよりも9倍多く含まれていた。食物繊維組成は、水溶性食物繊維の割合が高いという他の果実と異なる特徴を有し、機能性食品の原料としての利用の可能性が示唆された。リンゴ果皮を砂糖溶液に浸漬した実験では、浸漬4日目に赤色が消失し、6日目以降に黄色に変色することが認められた。リンゴ果皮の外観や糖含量等から、果皮を浸漬する砂糖溶液の濃度は30%が適当と考えられた。リンゴ果芯に含まれる一般成分含量は、水分以外全て可食部より高く、果芯の食感を裏付ける値となった。リンゴ果芯を冷凍した場合のビタミンC含量の損失は少なく、総酸量は、可食部よりも著しく低い値であった。果芯を砂糖溶液に浸漬することにより、重量増加と軟化や褐変が確認された。

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