日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a5
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口頭ー発表
フライパンと鍋の調理性の比較
*桒田 寛子木村 安美石井 香代子山口 享子渕上 倫子
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抄録
【目的】フライパンは主に炒める、焼く調理で用いるが、近年、手間や早さ等の理由から、茹でる、揚げる調理を行う際にもフライパンを使用している家庭が増加傾向にあり、メニューに対しての調理器具の固定概念が変化しつつあると推察される。使用頻度の高いフライパンを用いて、茹でるなどの調理を行い、鍋を用いたときの調理時間、調理性などと比較し、フライパン類を活用した最適メニューの提案を行うことを目的とした。 【方法】直径26cmのフライパンと直径18cmの鍋(上下2段)を用いてカボチャの煮物を同重量調理し、破断応力を測定した。また調味後の官能評価を行った。フライパン調理に最適なメニューの開発を行い、フライパンと鍋を用いて再現し、エネルギー消費量と加熱調理時間を測定した。 【結果】フライパンと鍋を比較すると、鍋の方が軟化が遅かった。また、鍋は上段と下段で煮え方が異なり、上段の方が、またカボチャの中心部の方が軟化が遅かった。調味後の官能評価において、鍋の上下段で有意差が見られた。鍋の場合、2段に分けることで味にムラができるため、フライパンの方が味が均等に染み込んだ。フライパンは、「焼く」メニューでは鍋に対し加熱調理時間が33%早く、ガス消費量は4%削減できた。これは火力を強めに設定し短時間で調理できるためと示唆された。また、「煮る」「揚げる」「茹でる」場合、フライパンでの調理が加熱調理時間で17%早く、ガスの消費量は4%削減できた。「蒸す」「炊く」場合、ガスの消費量では鍋調理が優位であった。フライパン調理の特徴として、加熱時間が短いメニューほどフライパンの優位性は増し、調理時間が長く、かつ弱火となるメニューではフライパンの優位性が低下した。
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© 2014 日本調理科学会
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