日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p5
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口頭ー発表
少量アルコール摂取の健康機能
―変形性関節症予防効果に着目して―
*柴田 紗知味八木 茂萱島 知子伊豆 英恵藤井 力松原 主典
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抄録
【目的】多量のアルコール(エタノール)摂取はガン,肝臓障害や依存症などの問題を生じさせるが,少量~適量のアルコール摂取は心臓病等の疾病リスクを低下させることが多くの疫学研究で明らかになっている。また,飲酒習慣が変形性関節症(OA)の進行を抑制することが複数の疫学研究から示唆されている。実生活において,味噌や醤油などの調理に使用する調味料は発酵食品であり低濃度のアルコールが含まれていることから,飲酒習慣が無い場合でも微量のアルコールを日常的に摂取していると考えられている。そこで,我々は近年問題となっている高齢者に多い変形性関節症に着目し,少量アルコール摂取の予防効果について検討を行った。 【方法】老化促進モデルマウスSAMP8系に飲料水として脱イオン水に1もしくは2 % (v/v)エタノールを加え自由摂取させた。15週間投与後,膝を回収し組織化学染色による病理評価を行った。また,C57BL/6Jマウスの大腿骨から単離した初代培養軟骨細胞を用いて,OA発症に関わる遺伝子発現に対する低濃度エタノールの影響を定量RT‐PCR法を用いて検討した。 【結果】SAMP8の膝関節の状態は,対照群ではOAを発症したマウスが見られたが,エタノール投与群では明確にOAを発症しているマウスは見られなかった。また,初代培養軟骨細胞の実験では,OA発症に重要な役割を果たす細胞外マトリックス分解酵素等のOA発症関連遺伝子の発現が低濃度のエタノールで抑制されることが分かった。以上のことから,少量のエタノール摂取は変形性関節症予防に対して有効に作用する可能性が示された。
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© 2014 日本調理科学会
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