日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-31
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ポスタ―発表
グリル調理機器の加熱特性
*松葉佐 智子松前 和則甲野 祥子
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抄録

【目的】近年、グリル調理では、様々な調理機器が開発・利用されている。各調理機器は汎用性があるとされるが、加熱源の種類や構造により、加熱の特徴は異なっていると考えられる。そこで本研究では、調理機器の伝熱特性が調理に与える影響を検討することを目的とした。 【方法】6種類の家庭用グリル調理機器(ガスコンログリル、IHクッキングヒーターグリル、ガスオーブン、電気オーブンレンジ、オーブントースター、グリラー)、およびガス業務用グリラーの計7種類の機器を用い、機器庫内の温度上昇を測定した。また、黒色耐熱塗料で黒色、ニッケルメッキで銀色に塗装した銅球を焼網の上に置いて加熱し、その温度上昇から受熱量、庫内の対流・放射伝熱量を測定した。さらに、調理試験(ビーフパテ、焼き芋、トースト、ピザ)を行い、食材の温度上昇、成分測定結果、調理の仕上がりを比較し、複数のグリル調理機器の加熱調理特性を伝熱特性から検討した。 【結果】火力最大で10分間加熱した時点の庫内温度は、ガスコンログリルが最も高温で、約350℃に達した。また、その時点までの総伝熱量は、ガスコンログリル、オーブントースター、ガス業務用グリラーはほぼ同じで約8,000(J)であったが、対流/放射の割合が異なり、3種類のうちではガスコンログリルで対流の割合が高かった。調理試験では、ビーフパテでは対流伝熱量の多いオーブン、焼き芋では総伝熱量が少なく長時間加熱できるIHグリル、トーストでは放射伝熱量の多いオーブントースター、ピザでは急速に高温で加熱できるガスコンログリルが最も良い仕上がりだった。グリル調理機器ごとに伝熱の特徴は異なり、その特性に応じた得意な食材があることが分かった。

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