日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-40
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ポスタ―発表
『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』
新潟県長岡市長岡・山古志地域の食の比較
*太田 優子伊藤 知子山田 チヨ松田 トミ子長谷川 千賀子佐藤 恵美子伊藤 直子山口 智子立山 千草玉木 有子小谷 スミ子渡邊 智子
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抄録

【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』の一環として昭和30~40年代頃に定着した家庭料理を検証するために、新潟県長岡市2地域(商工業および古志地域)において聞き書き調査を実施した。 【方法】予め長岡市の行事食と郷土料理に関する先行研究や資料などを収集し、地勢・気候や生業そして食料の生産など異なる2地域を選定し、各地域に38~77年居住する女性4名(62~80歳)を対象者として協力を依頼し、平成25年10~11月に聞き書き調査を行った。長岡市長岡・山古志2地域において家庭料理の調理に関わってきた各々2名を対象に、昭和30~40年頃に定着し伝え継いでいきたい家庭料理について、当時の生活環境や行事などとともに調査を実施した。 【結果】両地域ともに、越冬野菜の貯蔵と調理方法に工夫がみられた。長岡(商工業)地域では、長岡赤飯(醤油おこわ)・のっぺ・煮菜・ふかし(巾着)なす・酢ずいき・菊浸しなどが挙げられ、伝統野菜を種々の料理に活用して、保存可能な時期に一度に大量に作る合理的な食生活を営み、一汁三菜を基本に家族全員で囲む食卓のあり方などには、現代の食生活の課題解決に繋がる可能性も窺われた。山古志 (中山間部、豪雪) 地域では、おひら(かんじょう煮もん)・こくしょう・夏煮もん・えご・棒だら煮などが挙げられ、子どもは米作りなどの手作業を手伝い、くず米を石臼で挽くなど食に関わる多様な仕事において重要な役割を担い、行事食を楽しみ、はと麦で作った「じゅずく玉」、くず小豆の「ざっく」(お手玉)、そば粉の牛や猫など食材を身近に感じ楽しみに繋げ、お手玉唄や子守り唄など日常の中に食との濃密な関わりが反映されていた。これら2地域において、食材や行事などと結びついた食生活の営み方から貴重な示唆が得られた。

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