日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-50
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ポスタ―発表
ラオスにおける食を営む力の育成に関する研究(その2)
―首都ヴィエンチャン居住者の台所と料理の特徴―
*今津屋 直子
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キーワード: ラオス, 食育, 料理
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抄録
【目的】本報告は、ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)においては、人々の食を営む力の育成がどのように行われているのかその実態を把握するための調査の一部である。ここでは、家庭における料理の実態から、ラオスの人々の料理の技能の育成や調理的な観点からラオスの料理の特徴を把握することを目的としている。 【方法】首都ヴィエンチャンの市街地居住者17名とサントン郡居住者10名の合計27名を対象に、食生活の実態を捉えるため構造化インタビューを実施した(2014年11月~12月)。そのうち4名の回答者には許可を得て各人の自宅を訪問し、台所を見学した(2015年1~2月)。さらに、調味料や香草、香辛料の使用状況について1週間程度の記録を依頼し、その記録より料理の特徴を捉えることを試みた。 【結果】首都ヴィエンチャンに居住する人々の食生活の実態より、屋台や市場で簡単な食事をしたり総菜を購入する機会が多い一方で、共食の場として家庭における料理の重要性が高かった。母親や妻が料理を担当している家庭が多いが。男女がともに子どもの頃から手伝いを通して料理の技能を身につけていることが推察された。屋外に台所がある農村の家庭に比べて、今回の調査の対象となったヴィエンチャン市街地にある家庭の台所は屋内に設置されていた。しかし、炭火を使うことが多いため、屋外でも調理ができるように簡単な調理場所が設けられていた。使用頻度の高い調味料は塩、MSG、ナムプラー(タイ製の魚醤)が特に多かったほか、ラオスの伝統的な調味料であるパデーク(主に淡水魚を原料とした魚醤)も使われていた。コリアンダー、唐辛子、エシャロット、ニンニク、レモングラスの使用も多く、これらがラオスの料理には欠かせないことが示唆された。
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© 2015 日本調理科学会
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