日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-51
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ポスタ―発表
昭和時代初期の日本における食用油脂および油脂加工品を用いた料理に関する調査
*大橋 きょう子
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抄録
【目的】昭和時代初期における一般庶民の食生活には地域により違いが認められ、その特徴は油脂を用いた料理においても明確であった。さらに同一地域内の都市部と農村・漁村・山村部の食生活事情は大きく異なり、食用油脂の使い方や料理にも地域性が認められた1)。そこで、人口の多い都市部を有する東京府と大阪府に着目し、両地域における食用油脂及び油脂加工品を用いた料理の実態を明らかにすることを目的とした。
【方法】『日本の食生活全集全50巻』を資料とした。記録された料理の中から対象とした料理を全て抽出し、油脂の種類、入手方法、調理への利用及び特徴を精査した。また、油脂加工品及び調理済み食品についても調査した。
【結果】1) 東京府では、ごま油、椿油、大豆油、菜種油等が使われ、揚げ物、炒り物・炒め物が多かった。ライスカレー、シチュー等の洋風料理、鉄火味噌等のなめ味噌類、マヨネーズ等、多様な料理に用いられた。一方、大阪府は主に大豆白絞油、菜種油を使った揚げ物や焼き物が調理されたが、東京に比べて出現件数は少なかった。2) 家庭で調理される揚げ物はかき揚げや天ぷら等であったが、調理頻度は少なかった。3)カツやコロッケ等の調理済み食品は、主に都市部の精肉店で調理された。4) 両都市部以外の地域では油揚げの使用頻度が高く、東京ではご飯物や野菜・いも類を主材料とした煮物に、大阪では煮物・炊き物やなべ物・汁物に多く用いられた。5) 全般に油脂の日常的な使用は少なく料理の種類も限られていたが、都市部を中心とする地域では料理屋のメニューに洋食が並び、油脂を用いた多種多様な料理が日常の食生活に浸透しつつあることが伺えた。1)日本家政学会第67回大会要旨
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